PM2.5による花粉症の重症化を防ごう!
2015.02.28
日本気象協会による2015年の東京の花粉飛散は昨年比230%という予想が
早くから報道され、当院でも1月から花粉症のビジネスパーソンがいらしている。
しかし、例年服用している花粉症薬では咳が治まらないと訴えるビジネスパーソンが
ここ数年目立ってきている。
そこで、その原因の1つとして気になるのは大陸からの大気汚染物質だ。
特に直径が2.5μm以下の粒子状物質(花粉の12分の1の大きさ)PM2.5による
健康被害はこれまでも挙げられている。
この時期、大阪などでは「春霞」と呼ばれる現象が見られ、PM2.5もこの黄砂に混じって
飛んでくることはよく知られていた。しかし、近年このPM2.5の浮遊は全国的に広がって
きている。
粒子が細かいPM2.5は気管の奥深くまで入り込めるため種々の呼吸器疾患に関与する。
免疫学的にはアジュバント効果といい、花粉症では花粉の免疫反応を増強する働きが
ある。実際にPM2.5の濃い地域の花粉症はそうでない地域よりも症状が重くなる報告が
相次いでいるのだ。
残念ながらPM2.5に対しての薬はないが、花粉症はある程度までの予防が可能である。
抗アレルギー剤であれば4−6週服用して効果がみられる。
PM2.5が増えても花粉症の治療をきちんとしておけば症状は軽くできる。
スギ花粉等の飛散ピークは3月上旬から中旬になる予想だが、その後も4月にピークを
むかえるヒノキなどの花粉の季節は続く。
これから新年度に向けて多忙なビジネスパーソンには、警報が出ているときの外出を
可能な限り控えたり、効果の高いマスクやスプレー等の市販の対策グッズを利用し、
花粉やPM2.5の吸入を防げるよう心がけて欲しいと思う。
伊藤 院長 2015年2月28日(土)記
カテゴリー:内科・予防と予防対策