冬に活用したい漢方薬療法⑶風邪ー発熱
2013.11.18
11/18(月)冬に活用したい漢方薬療法⑶風邪—発熱
前回 風邪の漢方薬療法の利点を鼻水と咳の例で書いてみた。
今回は患者さんへの説明がやや複雑な発熱時の漢方薬療法について述べてみる。
風邪を引いた時に、熱で体がだるくなるのは辛い。
そのような時に限って翌日まで仕上げなくてはならない仕事を抱えていたりするものだ。
とにかく解熱剤を用いて体温を下げるが、それが一時凌ぎにすぎない場合がある。
発熱にも種類があり、通常の風邪の場合は生体の侵入者に対する反応で、
体が兵隊を集めて戦いやすい状況を作り出している状態である。
これに対して解熱剤を使うことは、その働きを邪魔することになり、一時的には
良くてもかえって症状を長引かせることになってしまう事がある。
漢方で風邪を治療する時は、体力のある人の場合は体温を上げ自らの体に
風邪ウィルスに対抗する物質を作らせる。「麻黄」という成分が入ったものを用いる。
体力のない人の場合は別の穏やかな薬を用いて似たような状況をつくらせる。
遠回りのようだが、本来人間に備わっている免疫力を高めることが可能なら
その方が身体に自然で優しい治療法に思える。
解熱鎮痛剤はこの後用いれば良いのである。
インフルエンザの場合、診断がついたら直ちに抗ウィルス薬を用いる。
同時に漢方薬も服用すると良いと思うのはこうした考えがあるからである。
ところで、ここでもう1つ誤解を解いておきたい。
風邪をひいたら「抗生物質」と思い込んでいる人は結構いらっしゃるようだ。
しかし、風邪・インフルエンザともに基本的には効果がないため抗生物質は用いない。
ただし、細菌が原因の扁桃炎の場合は話が違う。数日間きちんと服用するべきだし、
漢方薬との併用も問題なく、「石膏」という成分が入ったものを多く用いる。
消化器症状も伴うものには柴胡剤という成分を利用して治療する。
このように症状によって用いるものが全然違ってくるので、
医師に相談して正しく活用して欲しい。