食物繊維の摂取について(栄養士 レポート)
2014.01.25
院長の伊藤です。
イギリス留学時代ヨーロッパ人やアジア人と話しをすると、必ず話題にのぼるのが
Americanizeという言葉です。便利なもの豊かなものに魅せられながらも自国文化の一部が喪失
されたことを寂しく思う愛国心の現れでしょう。
文化的・地理的・宗教的結合ではなく、世界で唯一の法律で作られた国、アメリカ合衆国。
だからこそ、何のしがらみもなく利便性と豊かさを追求できたのだと思っています。
我々もその豊かさ利便性の恩恵を受け、しかし同時に自国文化をも変化させざるおえなかった。
生活習慣が変わるということは食生活も変わる。農耕民族である日本人が狩猟民族と
同じ食生活をするようになった。食の豊かさを享受しつつも遺伝子的にその変化について
いけない場面もある。これが第二次世界大戦後顕著になった日本人の身体的変化です。
例えば、日本人の食物繊維摂取量の減少も関係するでしょう。
今日は栄養士の視点からの食物繊維についてです。
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1/25(土)スタッフ(栄養士)
食物繊維の摂取について
がん(悪性新生物)が日本人の死因の第一位であることはすでに知られていますが、
女性に関しては、昨今大腸がん(正式には結腸及び直腸がん)が胃がんを超えてトップになり、
テレビ番組等で多く取り上げられています。
女性に大腸がんが増えた理由として、第二次世界大戦後の食生活の変化があげられます。
脂肪摂取の割合が増加し、炭水化物摂取の割合が減少したために便の量が減り、便の排泄には
ある程度の量を要するので大腸に長くとどまるためと言われています。
食物繊維摂取量を増やすことは、大腸がんだけに限らず他の生活習慣病への対策
(各疾病別ガイドラインを参照)として推奨されています。かつては、人の消化酵素によって
消化されない成分の総称として、食品学の分野でも重要視されなかった栄養素でしたが、
1970年代以降から徐々に日本でも注目されるようになりました。
食物繊維は穀類、いも類、種実、豆類、野菜、果物、きのこなどに多く含まれています。
(油脂、加工食品の殆どはもちろん、肉、魚、卵類にはあまり含まれません。)
穀類や野菜はほぼ毎日一定量食べるので、上手に組み合わせて利用するとかなりの食物繊維を
とることができます。
野菜なら生食より加熱する方(煮る・蒸すなど)が多量に摂る事ができ、皮の柔らかいもの
(例:にんじんやれんこんなどの皮)は捨てないで食べるとより良いです。
毎食、小鉢で二品くらいとりましょう。
主食は精製度が低いほうが食物繊維は多いです。
白米は玄米に比べ食物繊維量は1/4ですが混ぜご飯にすると食物繊維を増やすことができます。
白米の時は小鉢の野菜を多くするとよいです。朝食にシリアル類を食べるのも良いです。
いも類は一回の使用量が多いので食物繊維のよい補給源となります(肉じゃが、ポテトグラタン、
焼き芋、含め煮、おでんなど)しかし、エネルギーも多いので50g=卵1個重量分くらいが適量です。
豆類(豆類:納豆、おから、いんげん豆、えんどう豆など)、乾物(乾物:かんぴょう、切り干し
大根、ひじきなど)は食物繊維が多いので、副菜の野菜などに加えてこまめに利用すると良いです。
一度に食べる量は少ないですが、海藻、きのこ類を毎日種々の料理に加えて使いましょう。
ご参考までに、疾病別ガイドラインによる推奨量は下記のとおりです。
日本の現代人の食物繊維の平均摂取量は13.7gになっていますから、
不足ぎみであることがお分かりになると思います。
ここで、ご注意!!!
上限無く推奨されているからといって、摂取しすぎるとおなかを壊したりと
思わぬ体調不良の原因になりかねません。
まずは必要エネルギー以内での積極的な摂取を心掛けてください。
参考資料:
・平成24年の厚生労働省「人口動態統計」
・厚生労働省「平成23年の国民健康・栄養調査結果」
参考文献:
・日本人の2010年食事摂取基準
・新ビジュアル食品成分表
・東京教学社 イラスト食品学総論
・建帛社 改訂基礎栄養学
・第5版 臨牀調理
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カテゴリ: 食品と栄養