食中毒等の急性の下痢について

食中毒等の急性の下痢について

2014.07.18

前回の「下痢のメカニズム」に引き続き、今回は急性の下痢について書く。

まず、急性下痢症とは2週間以内に症状が治まるものを言うが、

毒素性と非毒素性の原因に分けられる。

毒素性には、ボツリヌス菌やO-157を産生する大腸菌、一部の黄色ブドウ球菌、コレラ菌

などの菌類、毒キノコ、重金属、薬剤等まで原因として含まれる。

そして、非毒素性には、日常的によくある消化機能の一時的な破綻(暴飲暴食等)による

食事性下痢、器質性下痢(消化管自体の急な疾患)の他、感染性下痢(サルモネラやロタ

ウィルスなど)、アレルギー性下痢(そばアレルギーの人がそばを食べた等)、神経性下

痢(過敏性腸炎など)がある。

 

問題は毒素性か非毒素性かの見分け方であるが、

例えば、ほどなく(数時間程度で)生じたならば毒素産生菌の毒素が付着していた食物が

原因の可能性が強い。この場合は集団発生を考える。多くは一時的なものだが、周囲にも

発症した人がいて原因がすぐに思い当たらないときは1−2日前までさかのぼって考える

ことも必要になる。

半日から3日ほどで生じた場合は両方とも可能性は否定できない。しかし、食べてから

2−3日以上経っている場合は、O-157のような細菌の増殖、つまり毒素性を疑う。

 

ちなみに海外旅行で経験する下痢は感染性が多いが、国内では食事性、アレルギー性、

消化管異常、神経性であることが多いことは容易にお分かりいただけると思う。

 

治療は安静、脱水の補正と整腸剤の服用だが、例外はあるものの一般的に下痢に抗生物質

は御法度だ。というのも、腸には500を超える種類の菌が住み着いていて栄養素の

吸収など大切な役割を果たしているが、そのような菌まで殺してかえって腸を弱らせて

しまうためだ。

 

朝起きたら突然お腹の調子が悪い経験をお持ちのビジネスパーソンは多くおられると思う。

さらに、最近は有名なラーメン店や給食施設での下痢を主とする食中毒が相次いで報告

されている。また、観賞用のひょうたんを誤って食用に供し下痢症を生じた例もあった。

食中毒の季節でもあり体調を崩さないように過ごしてほしい。

 

伊藤院長 2014.7.18記
カテゴリー:内科




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