風邪をひきやすいこの時期に実行したい「手洗い」
2013.11.21
11/21(木)風邪をひきやすいこの時期に実行したい「手洗い」
前回の「うがい」にひきつづいて、今回はもう1つの風邪の予防対策「手洗い」について述べる。
「それはもう十分わかっているよ。」と思われる方もいらっしゃるかもしれないが、
きちんとした手洗いは意外に難しいからだ。
手洗いの目的は消毒であり、病原微生物を殺菌または減少させて感染を防ぐ操作のことである。
写真は細菌を例に手の表面に付着した菌を培養して検査したものであるが、写真下の例のように
きちんと洗ったつもりでも実際のところ消毒になっていないことがわかる。
(手荒い前後の細菌の付着、八田 尚人、日本臨床皮膚科学会誌 Vol 30 No.4, 2013より抜粋
: 左;A,B両氏の手洗い前、右;それぞれの手洗い後)
石けんによる殺菌の機序は、細菌の細胞内部に浸透し、細菌のもつ液体成分(酵素など)を凝固させて
細菌を殺すという過程をたどるため、「洗った」つもりで10数秒こすった程度だと消毒が不完全となる。
効果が出るのに多少なりとも時間(1分くらい)がかかる。
一方アルコールを含む消毒液はこの作用に加え細菌の細胞膜の脂質を溶解させることで殺菌する。
適正な濃度であれば15秒もすると殺菌が終了する。
ただし、カビ類は殺菌できない。
手洗いの基本は石けんと水道水で洗うことだが、指の先から順序よく1分程度かけて
丁寧に洗って行くことが大切だ。
そしてきれいなペーパータオルで水分を拭き取る。
食品を触る人はさらにアルコールを含む消毒液で噴霧し終了するとより完璧だ。
この際、手は乾いていないと残った水分でアルコールの濃度が薄まるため効果は無くなる。
石けんには直接ウィルスを殺す作用はない。
しかし、洗浄により手に付着したウィルスを減らすことで
インフルエンザのような感染を減らすことはできるのである。
当たり前のようで意外に難しい手洗い、
この冬に認識を新たにして実行してみてはどうだろうか。