皮膚構造と疾患⑶ 皮下組織と付属器
2013.12.09
12/9(月) 皮膚構造と疾患⑶ 皮下組織と付属器
前回まで、表皮と真皮の役割と疾患の例について説明したが、今回はその皮膚構造の一番下
皮下組織とその付属器について述べる。
皮下組織はその大部分を脂肪組織が占め、残りは平滑筋や結合組織、血管、リンパ管、神経と
汗腺の分泌部、毛根などからなる。脂肪組織は中性脂肪の貯蔵所としての役割のほか熱産生や
クッションとしての物理的な役割等があるのだ。
脂肪組織の病気には代表的なものとして「脂肪腫」があげられる。
皮膚の下にできたもっこりとした柔らかい結節で大きさは変わらない。
気になる場合は切除すると良いが、神経や血管を巻き込んでいるので
整形外科や形成外科の専門医に相談すべきである。
真皮と脂肪組織の間を中心として生じる細菌感染症に「蜂窩織炎」があげられる。
真皮の薄い顔面や下腿に好発する境界のはっきりしない紅斑である。
傷や水虫、毛包炎などに続発して生じることが多い。
放置すると拡大して敗血症を起こすこともあるため、きちんと治療する必要がある。
脂肪組織から表皮までを貫いているものに汗腺と毛包があるが、いずれも脂肪組織から
始まり、表皮ないしは毛包に開口している。
疾患の代表としては「ニキビ(ざ瘡)」があげられる。
思春期にさしかかると生じる皮膚疾患だが、発症にはホルモン因子のほか皮膚の因子と
細菌性因子が関与する。顔のみならず前胸部や背部にも生じやすい。
日常生活でのケアと外用剤、内服薬との組み合わせで治療して行く。
これらの他に毛髪と関連した疾患も多数あるが、それらについては後日触れることにする。
関連記事
カテゴリ: 皮膚科