皮膚構造と疾患⑵ 真皮
2013.12.08
12/8(日)皮膚構造と疾患⑵ 真皮
前回は3層で成り立つ皮膚構造(表皮・真皮・皮下組織)の一番表面にある表皮は、
薄く様々な刺激から我々を保護していることを前回述べた。
今回は表皮の下にある真皮について述べる。
真皮は膠原線維を主とする間質成分と肥満細胞や組織球といった細胞成分からなる。
膠原線維は強靭な組織で引っ張りの力に対して抵抗性が強く、
皮膚の強度を保つ重要な役割をしている。
さらには厚い線維なので体の熱を保持するコートのような役割も担っている。
膠原線維は線維芽細胞から作られ、傷で組織が欠損した時この細胞はある程度の
線維を作り活動を休止するが、このシステムが働かないときがある。
そのときに膠原線維を過剰に作り続けいわゆるケロイドを形成するのだ。
細胞成分は組織球のような貧食細胞や免疫に関係する樹状細胞、様々な化学伝達物質を
放出する肥満細胞などがある。
真皮と疾患との関係をいくつかの例をあげ、かいつまんで説明すると、
「色素沈着」の場合は、表皮にいるメラノサイトが過剰なメラニン色素を作った時にぽろぽろと
真皮に落ちてくるが、これを貪食し掃除をするのが貪食細胞である。
この細胞が多く集まると黒く見えるのだ。
今の季節に多い「インフルエンザの予防接種」だが、
これを皮下に注射するのは、皮下即ち真皮に免疫に関係する樹状細胞が多くいるため、
ここに注射液を送り込み、免疫細胞にインフルエンザの抗原を覚えてもらうようにするためである。
最後に、一般的によく知られている「蕁麻疹」の場合は、生じる物質が肥満細胞から放出され、
血液を流れてきたじんましんの素が真皮で肥満細胞と反応し、肥満細胞からヒスタミンなどの物質を
放出して浮腫を起こさせるのだ。
このように真皮も表皮同様にそれぞれの層におけるドラマがある。
様々な理由があって役割を持ち、我々の活動を支えているのだ。
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カテゴリ: 皮膚科