漢方薬について⑷ 皮膚病の治療

漢方薬について⑷ 皮膚病の治療

2013.10.26

10/26(土)漢方薬について⑷ 皮膚病の治療

皮膚病に関しては専門医ではない医師が診察するケースが実際に多い。当院で受診される皮膚科の患者さんのほとんどが「他院に行ったけれど治らない。ひどくなった。」と訴えてくる。そういう患者さんは、他院での治療や症状を細かく説明する。そこで「他院」には皮膚科専門医はいないことが分かってしまう。専門医外の医師の中には命には関わらないからと皮膚病を軽視する場合がある。けれども、ちょっとした湿疹に見えても慢性化したり、他人に見られたくない炎症など、長く痒みや乾燥に常に悩まされ続けている患者さんは後を絶たない。 そうした「他院」では、早く治そうと加減せずに強力な軟膏や抗アレルギー剤を使ってしまい、それが悪化させてしまうことが起きてしまう。

ステロイド軟膏の副作用のひとつに顔の酒さ用皮膚炎という病気がある。口の周りが赤くなりステロイド剤を塗れば塗るほど悪化する病気である。治療としては外用剤を中止してひたすら赤みが引くのを待つしかないが、時間がかかる。このため改善しないと思い、治療途中で医師をかえてまた同じことを繰り返すという症例も多くある。「治らない」原因の1つと言える。

このような場合に力を発揮するのが漢方薬である。病態の本質はステロイド剤による局所の血液のうっ滞なので、漢方医学では瘀血という状態である。従って瘀血を解消する薬を用いることで速やかに改善できる。このような作用の薬は西洋薬にはない。風邪と同様に西洋薬と併用することで治療効果をあげる場合もある。慢性湿疹の代表格アトピー性皮膚炎の場合、症例にもよるが症状のさらなる改善を期待できる場合がある。特に慢性化し、抗アレルギー剤でかろうじて痒みを押さえている症例などに導入すると良い成果が得られる場合がある。一番困難なのは個々の患者さんの状態(漢方医学では「証」という)を見極めることである。証自体が体調や皮膚の状態で変化する。すなわち症状や体調によって薬を変えなければならない。従って、西洋薬のように、「病名=XXX薬」ということができないのが漢方療法でもある。

当院でも慢性疾患に漢方を用いる時は症状が安定するまでは、頻繁(週1度程度)に通えることを確認してから行う。そうでなければ、途中経過の効果が計れず、ふりだしに戻ってしまうからだ。特に皮膚科の漢方治療には、患者さんとの信頼関係が重要だ。 それゆえに当院にいらっしゃる患者さんに漢方薬の無理強いはしないことにしている。医者が全力を尽くしても患者さん側の思いが続かなければ治療は成り立たないからである。

 




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