イギリスと研究⑵
2013.10.10
10/10(木)イギリスと研究⑵
昨日は突然多発したカポジー肉腫(広義のがん)の背景にHIV感染があったことを
書いた。ではなぜHIVに感染すると肉腫が生じやすくなるのか考えてみたい。
まず、HIVとはヒト免疫不全ウィルスの略称である。HIVはウイルスを指す。
ヒトは絶えず多くの感染にさらされているが簡単に病気にならないのは対抗する
免疫機構(リンパ球がその代表)が働いているからである。
HIVはリンパ球にとりついて破壊する即ち免疫機構を壊してしまうのだ。
実際はリンパ球も絶えず新しいリンパ球を造って対抗するため、その力がダウンするまで
は検査を受けたりしない限りHIVに感染していることに気づかない。
しかし、力尽きてしまうと病原性の弱いウィルス、細菌や真菌でも増殖を許し発病
してしまう。これがAIDSと呼ばれる後天性免疫不全症候群の状態である。
つまり、肉腫はこのような病原性の弱いウィルスが引き起こす腫瘍である。
これが腫瘍の話しとウイルスの話しが関係する所以である。
HIVに感染しても大腸がんとか肺がんになりやすいという話にならないのは、
これらはウィルスが関係しない腫瘍だからということになる。
次回はカポジー肉腫に関連したこのウィルスについて書くことにする。
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カテゴリ: 研究と回想