「胆石症」について
2014.01.06
1/6(月) 「胆石症」について
正月においしいものを食べる機会は多かったことと思う。
夕食後しばらくしてから腹痛が生じた経験はなかっただろうか。
腹痛の原因は多数あるが、胆石症という疾患もその中のひとつである。
胆石症は、その名の通り胆管や胆嚢に固形物が存在する状態の病名で、
胆嚢炎や溶血性貧血・心臓弁置換術後・肝硬変などの既往歴がある人に生じやすいが、
最近ではコレステロール値の高い人にも増えている。
典型的な症状は発熱、黄疸、疼痛だが、無症状のものも50-70%にのぼるとみられている。
胆石の疼痛は食直後ではなくしばらく時間をおいてから起きることが多く、
夜中に腹痛で救急センターへ駆け込んでくるなかに胆石症の発作が混じっていることがある。
時間が経ってから腹痛が生じるのは、胆嚢の収縮のメカニズムが関係している。
脂肪分の多い食物が十二指腸に達するとホルモン(コレシストキニン)が十二指腸から
分泌され、それによって胆嚢の収縮が始まる。
この収縮は脂肪の量によっても変わり、少量の脂肪摂取では収縮しないこともある。
食事ごとに胆嚢が1-3回収縮するとようやく胆汁酸が分泌される。
胆嚢は収縮を繰り返し、数回収縮すると完全に収縮する。
このとき元々あった胆石が胆嚢の出口付近で詰まり、痛みを生じるというメカニズムである。
この収縮を解放しない限り痛みは続くことになる。
胆石による疼痛を予防しようとすれば胆石の有無を調べなければならない。
これには超音波エコーが威力を発揮する。
胆石が疑われたらさらにX線検査や造影CT検査などで精査を行い診断する。
胆石症と診断された場合の治療にはいくつか選択肢がある。
胆石が小さく胆嚢の出口を詰まらせにくい時には何もせず様子を見る。
この場合胆嚢癌がないか慎重に調べる必要があるので1年に1回程度検査を受けると良い。
その他、胆石を内服薬にて溶解させる方法、衝撃波で細かく砕き排出させる方法、
内視鏡による方法、腹腔鏡ないしは開腹術による胆嚢切除術などがあげられる。
少なくともコレステロールの多い食事を少なめにし、暴飲暴食をしない適度な食生活は、
生活習慣病だけではなく、胆石症をも遠ざけることができそうだ。
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カテゴリ: 内科