「打撲症」について
2014.01.13
1/13(月) 打撲傷について
急いでいたり忙しいときに、ちょっとした不注意で体を壁などにぶつけたりする経験は
ビジネスパーソンにもあるだろうと思う。
皮膚の損傷を伴わずぶつけた部分が腫れ上がったり痛くなったりする状態を打撲傷というが、
ぶつけ方がひどいとあざ(紫斑)や腫脹を形成することがある。
放置しておくと1週間もすれば大抵は治る。
しかし、心房細動という不整脈で血栓形成の予防のためワーファリンなど血液をさらさらにする薬を
服用している場合には、あざは大きくなりやすい。
その結果、血腫と呼ばれる血液の固まりが体の中にでき、後から取り除かなければならないこともある。
打撲すると筋肉やその周辺の血管や神経組織がダメージを受ける。
そして修復するために様々な物質が呼び寄せられる。その過程で炎症が生じ腫れや痛みとなる。
これを軽減するために湿布の貼付や抗炎症剤(NSAIDS等)を服用したりする。
大方はたいしたことはない打撲傷ではあるが、時にはきちんとした手当が必要なこともある。
例えば、コンパートメント症候群などがそうである。
腫れがひどく周囲の血管や神経を圧迫し、血流が滞りさらに腫れるためそこから先に血液が流れなくなり
組織の壊死を引き起こすのである。
このような場合、緊急に減張切開と呼ばれる処置を行わなければならない。
また稀ではあるが、打ち所が悪いと内臓損傷を起こすこともある。
交通事故などで外見上は問題なくとも内蔵、特に脾臓や肝臓の損傷を起こしていることがあるので、
救急医は単なる打撲と決めつけることなく対処している。
打撲と言えば、それほど重傷ではなく時が解決してくれるように感じている人も多いだろうが、
医者はどんな病気の可能性も否定せずに診ようとするものだ。
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