春の疲労感ー「疲労」のメカニズムについて

春の疲労感ー「疲労」のメカニズムについて

2016.04.30

Fatigue

日本では年度替りの春に、疲労を抱えたビジネスパーソンが目立つ。しかし、疲労の自覚無く不調を訴えるビジネスパーソンが意外に多い。

「疲労感」とは、実は体のあちこちの細胞が傷ついているサインにほかならない。
その原因がスーパーオキシド(superoxide)と呼ばれる活性酸素(ROS:Reactive Oxygen Species)の増加によるものであると、ここ10年の研究成果として知られている。

「活性酸素」はよく耳にする言葉だが、大気に含む酸素分子が反応性の高い化合物に変化したものの総称で、その総称範囲は広い。
その中の1つ、スーパーオキシドは、細胞の中で生体が取り入れた酸素をエネルギーに変換するミトコンドリアで産生され、その量は1日100ℓにまで及ぶと言われている。

スーパーオキシドは、生体にとって大切な殺菌作用を持つものの、過剰になると必要な細胞を壊したり遺伝子を傷つけるという特徴を持つ。そこで、細胞を傷つけないよう絶えずスーパーオキシドを分解し、調整してくれる働きをしてくれているのが正義の味方ともいうべき「スーパーオキシド・デイスムターゼ(SOD:Superoxide dismutase)」という酵素である。

ところが、飲酒・喫煙・食品添加物摂取・寝不足・ストレスといった生活習慣要因や、さらに紫外線の暴露、汚染された空気などの環境要因により、SODによる分解が追いつかないレベルにまでスーパーオキシドが増えてしまうと、細胞が傷つき「疲労」を生じてしまうのだ。

それでも、「疲労」はスーパーオキシドの短期的暴露によるものなので回復しやすいが、長期的暴露になってしまうと高血圧、脳梗塞、がんなどの疾患に至ってしまう。

疲労を蓄積しないためには、SODがしっかり働くようなスーパーオキシドを増やさないような生活が重要だ。その中でも最優先すべきなのが食事である。1日3回バランスよく食事をとるようにすると、SODを活性化する食材(抗酸化作用のある食品)をコンスタントに体内に吸収できるため維持されやすい。
また、週末にゴルフや森林浴に出かけるのも良い。緑の多いところで清々しい気持ちになるのは、身体が求めているからとも言えるからだ。
しかしながら、それをしたくてもできない状況下で疲労を抱えるビジネスパーソンもおられるだろう。その場合は、幾つかの薬にも回復作用があるので、かかりつけの医師に相談してもらいたい。

年度末から年度始めにかけて忙しさが続き、春はビジネスパーソンにとって疲労を蓄積しやすい時期になる。この身体的疲労のメカニズムを日常の健康管理に役立てていただきたい。

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伊藤 院長 2016年4月30日(土)記
カテゴリー:内科・予防と予防対策




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